今でこそブラウザ(インターネット閲覧ソフト)の種類は数え切れないくらいたくさんあり、そのどれもがグラフィックや動画、音声をサポートした華やかなものです。しかしわずか10数年前には考えられないことだったのです。Webの誕生から今日にいたるまでのブラウザの果たしてきた役割は非常に多かったといえるでしょう。
World Wid Web への関心が急速に高まり、やがて CERN (欧州原子力研究所) のコンピューター研究所は世界中のさまざまなコンピューター学会、あるいはハイパーテキストの学会で発表を行うようになりました。しかし Webの成長はこの時点ではまだ比較的ゆっくりとしたものでした。この年の末に Webにアクセスしても、見られるサイトの選択肢は 30にも満たないものでした。WWWが公表されてから数ヶ月の後に、最初のグラフィックベースの Webブラウザが登場しました。一番に名乗りをあげたのが、1991年後半にカリフォルニア大学バークレー校の学部生だった パイ・ウェイ (Pei Wei) が書いたViolaというものでした。このプログラムは今日の水準から見れば非常に原始的なものでしたが、当時としては画期的なもので、Webやハイパーテキストの学会で実演され話題を呼びました。Violaを使うと、テキスト中のリンクをクリックするだけで同じ文書、あるいはWeb上のどんな個所へも飛ぶことができたのです。 (今ではあたりまえのことですが、当時は大変画期的なことでした。) このプログラムは X Window (UNIX上に提供された GUIの操作環境) の Motif というプログラムを動かしているコンピューターのユーザに限られていたので、利用者層が広がる可能性は限られていました。NCSA(National Center for Supercomputing Applications) で研究を行っていた人たちも World Wid Web に注目していました。NCSAの目標のひとつは、科学研究の関係者を支援するために非商用ソフトウェアを開発し、商業的観点からの関心にも応えるような新しい技術を開発することでした。情報配布手段としてのWebの重要性を認識していた彼らは、GUIベースの Webブラウザをより多くの利用者に提供するための開発プログラムを遂行しました。PC、Machintosh、X Windowコンピュータ上で実行できる Webブラウザの開発に当たりました。その結果、NCSA Mosicが誕生し、このプログラムはインターネットで、希望者に無償で配布されたのです。NCSA Mosaic の簡単なインターフェースによって、Webの人気が一気に高まり、後続の Webプラウザにとって標準となるモデルが形成されていきました。Usenetニュース、gopher、telnet、ftpといったものの利用価値に多くの人々が気づくにつれて、ネット上を行き来する情報も大幅に増えました。ISP つまりプロバイダ) が登場しはじめたのもこの頃でした。NCSA Mosaicの「強化」をうたった Webプラウザを作りはじめましたが、こうした強化の多くは体裁をつくろうだけのもので、テキストや画像をわずかに違う形で表示するくらいの違いしかありませんでした。NCSA MosaicはWebの支配者となり、Mosaicという名前はすぐにWeb利用の代名詞となりました。Mosaicの初期のユーザを悩ませた間題は、Webページがすべて読み込まれるまで何も表示されないという点でした。画像の多い Webページに低速のモデムでアクセスすると、何分間もたたないと画面に何も表示されないという状態だったのです。Mosaicの最初の開発者のひとりだったマーク・アンドリーセン (Marc Andreesen) には、この状況を改善するアイデアがありました。Mosaic開発者6人とともに NCSA を去り新たなソフトウェア開発会社、Mosaic Communications Corporation社 を設立しました。その会社こそ、Netscape Communications社の前身となるものでした。Netscape が公表されました。これは連続ドキュメントストリーミング機能、つまりページがすべて読み込まれるまで待つのではなく、ページをダウンロードしている間にドキュメントを見ることができるという機能を持つものでした。この一点の重要な改善によって、人々は Mosaicから Netscapeへと移行し、やがて Netscape が最も優れた Webブラウザと考えられるようになりました。JavaScript、セキュリティ機能など) が追加され、Netscapeは Webブラウザ技術の最先端に位置し、ユーザ間において圧倒的なシェアを獲得しました。Micrsoftの Intenet Explorer と Netscape が代表的なブラウザとして知られていますが、後発の Microsoft はもともとは Spyglass社の Mosaicブラウザをベースにして開発され、Windows OSに添付されてからは爆発的な勢いで普及しています。Netscapeは、Microsoftとの激しい競争に敗れ、2003年、AOLの参加に入り、細々と開発しています。Microsoftとの競争というより、Navigator4.0x による致命的な失敗が、ユーザから敬遠されたという声もあります。Microsoft Internet Explorer (以下 MSIE) は、同社の Windows OSにバンドルし、瞬く間に市場を寡占状態に持ち込むことに成功しました。Windows OSのみに添付されることになりました。言い換えれば、現在リリースされている MSIE6.01 が最後のバージョンで、その開発を打ち切ることになったのです。Microsoft社は、Windows OS によって MSIEの圧倒的なユーザを獲得しました。ところが今後は、新型の MSIEを武器にして、次期Windowsの普及を狙っているのかもしれません。